連載③:断熱と「すき間」はセット——“気密”と“換気”を勘違いすると失敗します

前回までで、断熱は「家の中と外の熱の出入りを減らすこと」と整理しました。
今回は、断熱と必ず一緒に語るべき “気密(すき間の少なさ)” と “換気(空気の入れ替え)” を、専門用語を最小限で整理します。
1) 断熱だけ良くしても、すき間だらけだと意味が薄い
断熱を「ダウンジャケット」に例えるなら、
- 断熱=ジャケットの“厚み”
- 気密=ジャケットに“穴が空いていないこと”
どれだけ厚手でも、穴が空いていれば風が入って寒い。家も同じで、すき間風があると暖房・冷房が逃げていきます。
つまり「断熱」と「すき間対策」は、片方だけだと効果が伸びません。
2) 「気密」と「換気」は真逆の話。だからセットで考える
ここが一番の誤解ポイントです。
- 気密:勝手に出入りする空気(すき間風)を減らす
- 換気:必要な量だけ、計画的に空気を入れ替える
気密を上げるほど、自然に空気が入れ替わりにくくなるので、換気を“ちゃんと動かす”ことが重要になります。
なお、日本ではシックハウス対策として、住宅を含む建築物で換気設備(いわゆる24時間換気)が制度上求められる流れが整理されています。
3) 「結露」は、断熱・気密・換気の“バランス崩壊”で起きる
結露はざっくり2種類あります。
表面結露(見える結露)
窓が濡れる、サッシがびしょびしょ、など。
室内の湿気が“冷たい面”に触れて水になります。
内部結露(見えない結露)
壁や天井の中で起きる結露。これが厄介です。
内部結露は、建物の劣化やカビの原因になり得るので、断熱だけでなく、湿気の入り方・逃げ方まで設計するのが基本です。
4) これからの家は「断熱+気密+換気」が標準装備になる
制度面でも市場面でも、流れは明確です。
- 2025年4月以降に着工する原則すべての新築で、省エネ基準適合が義務化
- 政府目標として、2030年度以降の新築はZEH水準の省エネ性能確保を目指す方向
要するに、「断熱はやるのが当たり前」へ進みます。
その結果、今後は “施工の丁寧さ(すき間・取り合い・換気運用)”が品質差になります。
5) ここから少しだけ:外断熱が注目される理由
断熱の弱点は、実は「つなぎ目」です。
柱・梁・金物・取り合い部分などで、熱が逃げる“抜け道”ができます。
外断熱は、家を外側から連続して包みやすく、こうした弱点を減らす発想です。
ただし、外壁のつくり方は工法次第で耐久性に差が出ます。断熱性能を上げるほど、外壁を長持ちさせる設計・施工が重要になります。


